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「国家破産」以後の世界 その3

藤井厳喜「「国家破産」以後の世界」(光文社ペーパーバックス)を読む。

IMF審査を受け入れて、黒字転換したカナダ。先進国として、最初にIMFの審査を受け入れた国だ。当時のカナダの借金は、GDP比68.4%だった。現在の日本の借金は、GDP比160%である。そのカナダがまず最初にやったこと。公務員の首切りである。



そして、衆議院議員議事録第10号(2003年2月14日)にあるとおり、米国は日本の政治家の発言をネバダ・レポートで評価している。

ひとつは、小泉首相の日本の税収は50兆円ほどしかない、いまの85兆円を超える予算は異常だという発言。もうひとつは、柳澤大臣がワシントンでIMFプログラムを受け入れるとした発言。

収支均衡が世界の常識だということは知っておくべきだ。また、IMF管理下に日本が入ればどのようなことが起きるか、これも知っておくべきだ。ネバダ・レポートには8項目のプログラムが容易されている。

いま、日本の官僚はこれを骨抜きにしようとしている。「ハードランディング」を回避して、国民への負担だけでこの差し迫った事態を切り抜けようとしている。さて、ネバダ・レポートの8つのプログラムとは…

1.公務員の総数の30%カットおよび給料の30%カット。ボーナスはすべてカット。
2.公務員の退職金は100%すべてカット。
3.年金は一律30%カット。
4.国債の利払いは5~10年間停止=事実上紙くずに。
5.消費税を15%引き上げて20%に。
6.課税最低限を年収100万円まで引き下げ。
7.資産税を導入し、不動産は公示価格の5%を課税。債権・社債は5~15%の課税。株式は取得金額の1%を課税。
8.預金は一律ペイオフを実施。第2段階として預金額の30~40%を財産税として没収。

自分たち役人のリストラから手をつけて、財政危機を乗り越える。財政危機を招いた張本人が責任をとるのは当然。国民だけに負担させるなんて言語道断だ。

この著者、中国敵視の姿勢は問題だが、経済をめぐる発言は、やや扇動的にせよ、義侠心もあって、なかなか面白い。時代を読むぼくのアンテナは大いに反応した。(大野泰男)
by Yasuo_Ohno | 2005-01-17 22:18 | テーマ5:政治・経済・社会
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