人気ブログランキング | 話題のタグを見る

反時代的密語 理想の旗を高く掲げよ 梅原猛

法華経。家が火に燃えているのにも気づかずに遊びに夢中になったいる子供たち。釈迦は子供を哀れに思い、それぞれの好きな物を与えてやるといって無事子供たちを家の外に出した。さらに、約束した以上のすばらしいものを子供たちに与えた。





現代の環境破壊が法華経の語る「火事」。近代文明とともに始まった環境破壊。いまや人類そのものを滅ぼす大きな危険となっている。けれども人類は火事の恐ろしさに気づかず、やれ戦争だ、やれ経済だ、やれスポーツだと遊び戯れているという。

梅原が重視するのは、京都議定書が京都において採択された事実。京都は、平安仏教=天台仏教と真言密教を総合し、浄土宗、禅宗、日蓮宗など鎌倉仏教の思想的根拠を与えた天台本覚論が生まれた地だ。

天台本覚論は、動物ばかりか植物すら、つまり、すべての生きとし生けるものに仏性があり、それらはやがて仏になれるという思想。人間が世界の中心に座る近代哲学が自然に対する絶対的支配権を行使するのとは訳が違う。

近代文明を生み出したヨーロッパ諸国は、その限界にも気づき始めた。しかし、この近代文明を移入し、かつて人類がもったことのないような巨大な軍事力と経済力を謳歌するアメリカに期待できないのは当然。

いまこそ日本が環境立国の旗を高々と掲げ、伝統にもとづく日本の理想を世界に示すべきときだとする。まったく同感である。
by Yasuo_Ohno | 2005-03-02 20:48 | テーマ3:現代思想・仏教
<< 長期金利じわり上昇 景気回復期... 憲法改正自民小委 前文中間案に賛否 >>