クラーク・ゲーブルのいやらしいひげ面とクローデット・コルベールの変に膨れたおたふく面を見るにつけ、どうしてこの作品が二人を当時のアイドルに仕立て上げたのか全然わからない。
いがみあう二人がいつしか恋に落ちるというパターンは、いまなら極くありふれたものだが、コメディ・タッチで描けば面白いのに、この作品ではマジでいがみあっている。 おまけに性的な潔癖さを強調する演出は鼻持ちならないくらいなので、「ジェリコの壁」云々といったメタファーがエンディングにするほどの代物かという疑問が持ち上がる。 要するに1934年の米国作品なのだ。古典としての価値はあるにちがいないが、いまのぼくらが楽しめるようなものではないということだ。 ただ、エンディング近くの結婚式のシーンは「しめしめ」と思った。マイク・ニコルズ監督「卒業」にそのモチーフが引き継がれているからだ。 しかしながら、ここで終わることなくいましばらく退屈な物語が続くのはやはり致命的だ。あざやかなエンディングが用意されていれば見終わったあとの壮快さが全然違ったのに、である。 くだくだとくだをまいてきたが、ストーリーの整合性とか映像の安定度とかになると話は別だ。最初から最後まで安心して見ることができる。 けれども、当時一般に受け入れられていた社会通念を打破するようなある種の過剰さをもちあわせていないので、上品でおとなしいイメージを与えるのはやはりつまらない。時代とともに陳腐化するのはこのためである。 或る夜の出来事 ★★★ 制作:1934年アメリカ 監督:フランク・キャプラ 製作:フランク・キャプラ、ハリー・コーン 原作:サミュエル・ホプキンス 脚本:ロバート・リスキン 撮影:ジョセフ・ウォーカー 音楽:ルイス・シルヴァース 出演:クラーク・ゲイブル、クローデット・コルベール、ウォルター・コノリー、ロスコー・カーンズ、アラン・ヘイル、ウォード・ボンド
by Yasuo_Ohno
| 2005-03-04 21:40
| シネマンガ研究会
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