サイコ

最高でもないのにサイコとはこれ如何に。
以前見たことがあるようなないような、あやふやな気持ちで見た。で、その感想だが、ぼくには世にいわれているような傑作であるとは思えなかった。




ヒッチコックの場合、傑作とされている作品に限ってこういう思いをするのだが、単なる偶然ではあるまい。同じミステリーでもオカルトっぽいものはダメだ。魂や情念の領域に足を踏み入れた途端、見るものに戸惑いを起こさせるのだ。

なるほどヒッチコックは偉大な映画作家であることは認める。なにより彼の映画づくりの方法論が自覚的であることに驚嘆を覚える。しかし、自覚的であることは人間を分析的にとらえ、言語的に表現することだ。

方法論としての言語化のパワーを認めるにやぶさかではない。しかしながら、そのパワーを十分に認めた上でその限界を考えないわけにはいかないのだ。分析ではなく統合、すなわち切り刻むのではなく、全体を包む視点を忘れてはいけない。

角を矯めて牛を殺す、との諺にもあるとおり、魂や情念の世界は切り刻んではならない。傑作とはこれらの世界をぼくらと分かち合える作品で、ヒッチコックの世界とは対極に在る。(大野泰男)


サイコ ★★★

製作年度 1960年
製作国  アメリカ
上映時間 109分
監督 アルフレッド・ヒッチコック
原作 ロバート・ブロック
脚本 ジョセフ・ステファノ
音楽 バーナード・ハーマン
出演 アンソニー・パーキンス 、ジャネット・リー 、ジョン・ギャヴィン 、ヴェラ・マイルズ 、マーティン・バルサム
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by Yasuo_Ohno | 2005-01-30 00:12 | シネマンガ研究会
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