ダイヤルMを廻せ

妻が殺人を犯す。夫は妻を庇う。しかし、妻は死刑を言い渡される。表面的には、こういうストーリーなのだが、実は、妻が殺したのは、夫が仕掛けた殺し屋だった。

ヒッチコックの手法が優れているのは、種を明かした後のサスペンスが持続することだ。小説ではラストのどんでん返しがよくある手法だが、映画ではサスペンスこそがそれに比肩しうる手法である。




ところで、映像的にサスペンスと親和性のあるのは「強調」だ。この作品では妻を殺す打ち合わせを最初に明かして、実際に計画を失敗に陥れる不可抗力を強調でもって表現する。

もうひとつの山場はいうまでもなく鮮やかなラストだ。これほど見事なラストはあまり記憶にない。強いて挙げれば、『飢餓海峡』ぐらいだ。

夫が行った偽装工作にはミスがあった。死んだ男が持っていた鍵は妻のものではなく、ほんとうの鍵は男が部屋に侵入する際に元の場所に戻したのだ。それを知らずに夫は男の鍵を妻のバッグにしまってしまう。

そしてラストだ。まず、妻がバッグの鍵でもって部屋に入ろうとする。当然ながら鍵が合わない。入るのを諦める。ところが、夫は、妻のバッグの鍵が合わないと知ると機転を利かせて、階段のカーペットの下を探って調べる!果たして、本当の鍵が出てきた!!すなわち、男と打ち合わせて鍵を階段に隠したのは夫であることが明らかになる。

なるほど見事なサスペンスだ。


ダイヤルMを廻せ ★★★★

監督: アルフレッド・ヒッチコック
脚本: フレデリック・ハット
音楽: ディミトリ・ラィオムキン
出演: グレース・ケリー/レイ・ミランド/ロバート・カミングス
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by Yasuo_Ohno | 2005-01-30 12:24 | シネマンガ研究会
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