街路を歩いていて、若い女性のものと思える下着が干してあるのを見かけると、瞬間、本能的に視線が吸い込まれる…これは思春期からはじまり、いまでもほとんど変わらないから、どうも素因的といっていい(吉本隆明「背景の記憶」)
このすごいひとはこんなこともいっているらしい。 ほんとに生理的な性の欲求だけ、という場合は、僕だったら女性は要らない。自己処理してしまいますね。そうじゃなくて、なんらかの精神的なというか、気持ちの上でいいな、という要素が入ってなければはじまらないよ、なんにもっていう気がします(同掲) 吉本はすでに80歳を越えた。「老い」や「病い」に関する発言や著作が増えたらしい。 幸・不幸とかも、長く大きくとらないで、短く、小さなことでも、一日の中でも移り変わりがあるんだよと小刻みにとらえて、大きな幸せとか大きな不幸というふうには考えない(略)そういうふうに大きさを切り刻むということ、時間を細かく刻んで、その都度いい気分だったら幸福だと思い、悪い気分だったら不幸だと思う(吉本隆明「幸福論」) 勢古の解説。 老人には将来がない。先のことを考えてもしかたがない。ひとはなぜ生きるのか、などもはやなんの意味もない問いだ。夢なんかあるはずもない…だったら今日一日のなかで幸・不幸を小さく刻む。天気がよくて気分がよかった… 老い先短く死が恐いのは僕だって同じですよ(吉本隆明「幸福論」)。あるいは年をとってきたら命にたいしてけ・ち・になった。命を物惜しみするような感じはあります(三好春樹との対談集「老いの現在進行形」) 勢古のまとめ。 自分の死は自分のものだけど、危なくなって死ぬという段階になったらもう自分のものではない(吉本隆明「死の準備」)し、「死ねば死にきり」だから、あとは残ったものが好きにすればいい、という… 村上一郎への追悼文の一番最後で、「さようなら、ご機嫌よう」(吉本隆明「追悼私記」)。勢古にいわれるまでもなく、死者への追悼として、「ご機嫌よう」という言葉はそぐわない。吉本だからできるんだろう、という勢古の言葉に妙に納得。 ちなみに、勢古は、もっとも吉本らしい一冊として、「追悼私記」をあげた。
by Yasuo_Ohno
| 2005-03-30 23:44
| テーマ6:生活
|
検索
カテゴリ
全体 ようこそ・自己紹介 今日の新聞 読書の部屋 テーマ1:保守・右翼 テーマ2:リベラル テーマ3:現代思想・仏教 テーマ4:国際関係 テーマ5:政治・経済・社会 テーマ6:生活 シネマンガ研究会 旅の記録 砂上の楼閣・おやじの主張 サラリーマンサバイバル日記 フォロー中のブログ
ITエンジニアが仕事さぼ... 映画・読書日記 (旧)京都・哲学の道案内... あきと@社会人生活4年目 日本の行く末 日本国破綻Safety ... 【フランス落書き帳】ht... ポストモダン研究会Blog こう・ストーリーズ /* 刹那の中の人 */ 雨ニモマケズ(実録★抑う... murmur 【独居大学... 中東に降る雪@Jerus... 社会派ブログ--実はただのグチ 多事論争 neXt ネットは新聞を殺すのかblog 平安京ジグソーパズル にぶろぐ@無人店舗 OFF ◆木偶の妄言◆ shanghai♡sha... Web読書手帖 『生活小説』生活 退屈男と本と街 高校英語教師の授業日記 木苺日記/ときどき短歌 北回帰線からこんにちは Tomorrow is ... 映画監督 横山博人ブログ 国家破綻研究ブログ つれ数 掬ってみれば無数の刹那 俳句くん きょうのわたくし ぷち総研 ともギャラリー よし・ろぐ~行政書士よし... はるかぜ・はるか語りblog 中国歴史小説と幻想的な恋の話 最新のトラックバック
ライフログ
以前の記事
2008年 01月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 08月 2004年 07月 その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||